新着情報

2014.10.27

意外というか…予想通りというか…北朝鮮の住宅事情

■異例の報道? 北朝鮮の高層マンション崩壊!
2014年5月に、北朝鮮の平壌市内の中心部に建っていた高層マンションが崩壊するというニュースが流れました。
この報道は北朝鮮国内でも報道され、その結果世界中にも配信されたわけです。しかしこのような事件が北朝鮮国内でニュースとしてちゃんと報道されるのは、極めて異例なことになります。



この事件を報じたメディアのひとつ、朝鮮中央通信によれば、建設現場でいい加減に行われていた工事を監督していた幹部たちが、正しく統制せず無責任だったために事故が発生し、人命被害が出たとしています。
実際の被害はどれほどのモノであったか、死者やけが人などの正確な数字は発表されませんでした。ただ崩壊したアパートにはすでに92世帯の家族が入居していたそうですから、一説によれば400名以上の死傷者が出たと言われています。

■普通は隠蔽される事件が、なぜ明るみに出たのか?
日本と北朝鮮は正式な国交はありませんので、ストレートで情報が入ってき難いのは事実ですが、それ以前に北朝鮮政府は、国内で起きた大事故などの情報を隠蔽するのが普通で、国内向けのニュースでもこの手の事件は一切報道されないことが多かったのです。

ところが今回の事件は、国内ニュースで大々的に報道されるだけではなく、マンションの建設を担当した党幹部が、公の場で謝罪するシーンも伝えられました。
隠蔽体質の北朝鮮が、こうした報道を行ったということは、事故そのものより海外のマスコミを驚かせたわけで、その理由も
「金正恩になってから、情報をオープンにする政策に切り替わった」
というようなまともな見解から、
「韓国のセウォル号事件が世界的に注目集めたので、北朝鮮も負けじと大事件を世界に配信した」
という冗談のような意見も囁かれています。

まぁ、一番信用できそうな説は、この崩壊事故がピョンヤンのド真ん中で発生してしまったため、隠蔽したくてもできなかったというモノです。
それに高級マンションに入居できるなんていうのは、北朝鮮の中でも上流階級でしょうから、そんなクラスの人たちが数百人単位で死傷するような事件は、さすがに隠蔽は不可能だったのでしょう。



■家賃はタダ?北朝鮮の住宅事情
北朝鮮の首都、平壌は時折ニュースで市内の様子が流れますが、結構近代化が進んでいます。今回崩壊した23階建てのマンションも、その外見は大した物で日本にあるマンションと比べても、さほど見劣りするような事はありません。
こうしたマンションの家賃はいかほどかと言いますと、実は“無料”なのです。

North Korea - Pyongyang
North Korea - Pyongyang / Roman Harak


実は共産主義国家である北朝鮮(正式名称:朝鮮民主主義人民共和国…どの辺りが〈民主主義〉なんだろう?)は、基本的に個人財産を持つことは許されていません。
したがって、住居も
「政府(党)が市民に貸し与えるもの」
であり、そこに家賃という発想はないのです。

ですから、少なくとも平壌市内に住んでいる人は、マンションだろうが一戸建てだろうが、自分の所有物ではない代わりに、家賃もタダなわけです。
たまに北朝鮮の住宅事情を紹介したニュースが流れ、“将軍様”が一般家庭を訪れるシーンが出てきます。その時住人は
「こんな素敵な家に住めるのは将軍様のおかげ」
とかいう感謝コメントを言いますが、その家が党から提供されているのは事実で、住んでいられるのも党のおかげなので、あながち演出のための嘘ではありません。

マンガ 金正恩入門―北朝鮮 若き独裁者の素顔― (TO文庫)

特に平壌というのは極めて特殊な都市で、北朝鮮国民だからといって誰でも住めるわけでなく、この街に入ることすら許可が必要なのです。
北朝鮮でいい暮らしが出来るのは、党に認められている間だけで、将軍様に嫌われたり、仕事でヘマをしたりすれば、あっという間に住んでいた家を追い出され、地方に飛ばされてしまう危険があります。こういう国に生まれなくてよかったですねぇ。






筆者V(-¥-)V ごとう さとき
------------------------------------------------------
駄文屋
http://vschikan2014.blog.fc2.com/

 ▼あわせて読みたい


「ジェンダー・エクイティ」について


在韓米軍慰安婦_前編

ページの先頭へ