近年、精神疾患に対する不当な差別や間違った認識は、人権意識の向上や従来タブー視されていた精神疾患に関する報道が緩和されたことなどにより、かなり軽減されてきているように感じる(もちろん、そこに「表向きは」という枕詞が付くのはいうまでもないが…)。
しかし、世界的に見ても精神疾患の患者に対する人権、適切な医療行為が見直されたのはごく最近のことであり、それまでは重度の患者は「隔離」が基本であり、人権を無視した拘束・人体実験とも呼べる処置や手術が当たり前のように行われていた。
以下はその一例である。
●重度の拘束
患者を「治療する」という概念がそもそも存在せず、拘束することで人の目に触れないようにし、そのまま一生を送らせるといったことが当たり前のように行われた。子供は、成長する機会を与えられず社会に出る能力を持たないまま病院で一生を終えることとなる。
この「拘束・隔離」は日本においてもごく最近まで行われていた(ある意味では今現在でも行われているといえる)。世間の目を気にして患者を外に出したくない患者の家族と、「固定資産」として定期的な収入をもたらす存在という病院側との利害が一致することから生まれる負の慣習である。
●人権を無視した処置・拷問
精神疾患の患者には人権を完全に無視したさまざまな拷問的処置や人体実験が行われてきた。
ヒステリー患者を落ち着かせるために使用された電気椅子。
1920年頃、電流を流し大脳を刺激することで症状が治まると考えられ、その信用性が立証されないまま行われた電気ショック治療。後に、危険なものと判明する。
19世紀頃、自慰行為が精神病の原因のひとつとされていたことから、患者にはこのような器具を付けさせ、性器に触れることを防いでいた。
●「悪魔の手術」ロボトミー
※写真「06_ロボトミー様子.jpg」「07_ロボトミー_道具.jpg」
精神疾患患者への治療として最も有名なもののひとつが「ロボトミー手術」である。
この治療は、人間らしい知的活動をつかさどるといわれる脳の前頭葉の一部を手術により切断することで性格・感情をコントロールするというもので、1940~50年代頃に盛んに行われた。この手術の発案者であるエガス・モニスはなんとノーベル生理学・医学賞を受賞している。しかし、後にこの手術がさまざまな後遺症をもたらすことが分かり、投薬治療の発展などもあり1970年代にはほとんど行われなくなる。
ロボトミーを受けた人で最も有名な人物が米国大統領ジョン・F・ケネディの妹であるローズマリー・ケネディ。元々障害があり、暴力的なふるまいに困っていた家族がロボトミー手術を受けさせるのだが、手術後は攻撃的な性格が治まった代わりに、尿失禁や性格の幼児化などの後遺症が起こり、彼女の人格そのものが破壊されてしまった。
また、日本でも暴力癖があり精神疾患と認定されたスポーツライターが、本人に無断でロボトミー手術を受けさせられ、その結果仕事への意欲や物事への感動が著しく減退してしまい、その恨みから執刀医を刺殺してしまうという「ロボトミー殺人事件」が発生している。
上記のような処置や監禁は、現在でも発展途上国などでは当たり前のように実施されている。
我が国においてもここまで残酷な形ではないにしろ、患者の家族などの希望による“実質の永久監禁”などは今もなお存在している。また、昨今の格差社会や家庭環境の崩壊、ひきこもりやニートの問題などを鑑みるに、今後、満足に治療を受けることの出来ないような精神疾患患者が増大することも考えられる。
今回紹介した内容は決して「過去の事・他人の事」ではなく、現在・未来において“我が身にも起こりかねない事”として受け止め・考えていく必要があるのだ。
出典
http://www.cracktwo.com/2014/02/scary-asylums-of-past-31-pics.html
http://buzznews.asia/?p=19226
http://onodekita.sblo.jp/article/49048946.html
http://www.maroon.dti.ne.jp/knight999/lobotomy.htm
新着情報
2014.10.27